レシピ / Recipe

江戸しぐさに学ぶ その2

先月の知恵袋でもお伝えした「江戸しぐさ」。

江戸しぐさ

江戸時代の相手を思いやる温かい気持ちと言動は今の時代にも是非、語り継ぎたいものです。ゆずり合いの精神から受け継ぎたい作法を今月はいくつかご紹介します。

傘かしげ

雨の日に道ですれ違う時、相手も自分も傘を外側に傾けて、お互いの傘が当たらないように、また、しずくが相手にかからないように配慮することです。江戸時代の傘は紙張りだったので、お互いの傘に穴をあけないようにという配慮でもありました。

6月に入り、そろそろ梅雨時、この傘の出番が多い時期に是非とも実践していただきたい江戸しぐさの一つです。

肩ひき

狭い道路や路地、混み合う道路で、前方から人が来たとき、お互いに右肩を引いて、体全体を斜めにし、胸と胸を合わせる格好でのすれちがうしぐさ。狭い道をお互い、スムーズに気持ちよく歩く心構えです。現在では、混雑した街中をスイスイかわして歩いている人を多く見かけます。でも、混み合う道で肩がぶつかりあって、トラブルが発生したりしているのも見かけます。もし、ぶつかったら、まずは、“すみません”のお詫びの言葉が大切ですね。

片目だしと蟹歩き

建物から道路に出るとき、まず右、そして左と実際に顔を動かして、様子を伺ってから出るという“片目だし”。信号が無くても江戸の町では、十字路では広い方が狭いよりも優先、どちらとも判断できない場合は、先に来たほうに優先権があるという暗黙のルールがありました。この江戸しぐさは用心深く、非常に合理的なものでした。

<蟹歩き>は肩ひきでも通れないような、一人しか歩けない道ですれ違う時は体全体を横にしてゆっくり蟹のように横歩きしようというもの。一見、ユーモラスなしぐさですがとても慎み深い“往来しぐさ”です。

こぶし腰浮かせ

江戸時代に電車はありませんでしたが、渡し船や茶屋の待合で座っているときに、あとから来た人のためにちょっと腰を上げて腰の両側にこぶしをついて、軽く腰を浮かせて、少しづつ幅を詰めながら、一人分の空間を作る。これが<こぶし腰浮かせ>です。一人でも多くの人が座れるようにこぶし1個分の配慮、ゆずり合いの精神が浸透していました。電車か混んできたときに見習いたい動作です。

江戸の人々は、周囲に配慮しながら、みんなが気持ちよく暮らせるように振る舞う事が、ごく自然な事でした。これは公共のマナーの原点かもしれません。

そして、この<江戸しぐさ>は公の資料には決して出てくることなく、江戸の町衆に代々語り継がれ、「文章化すると俗化するので書くべからず」と代々申し送られてきました。江戸城下町の商人の上に立つ町衆が率先して、実行し、子供たちに徹底して身に着けさせた考え方と立ち居振る舞いです。心の底に常にある思いやりの気持ちがごく自然に表れています。

これらのしぐさの数々は、現代の暮らしでも十分通用するものだと今回調べてみて改めて感じました。
人々のコミュニケーションが不足していると言われる現代社会で、この粋な<江戸しぐさ>はきっと、より良い人間関係作りに役立ってくれると思います。
ちょっとした思いやりが、大切なんですね。これから、私も実践していきたいと思います。

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